レザークラフトに関する諸々の話⑩

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ネタと時間が無いためすっかり更新頻度が落ちた当ブログ。
まぁもともと誰に見せるでもなく自己満で始めたものなので問題ナシ。

3年ぶりの対面の話
2018年のクリエーターズマーケットで手に入れた牛革で作ったパスケース
これは当時友人の頼まれ物で作ったものだが,作って渡した2日後に早くも大雨で水没させたという話を聞き,なんともがっくりした記憶がある。
とはいえ当時の自分から見ても粗末なクオリティだったため,その後使い続けようが使わなかろうが処遇は全く気にかけていなかった。
…が,なんと先日(といっても6月の話),今なお使い続けているということが発覚。
現物を見せてもらった。

荒々しい!
当人曰く何もケアはしていないとのことで,100%自然なエイジング。
同じ革で当時ブックカバーとリップクリームカバーを作り自分で1年ほど使っていてかなりエイジングするのは知っていたが,3年経つとここまでになるとは…

パスケースの内装はさほど手が触れないためエイジングは殆ど見られず。
外装との違いがよく分かる。

これ…コバ処理は当時何もしなかったのだろうか。

エイジングの状態もさることながら,本人には申し訳ないが使い続けてくれるタイプの友人とは全く思っていなかったため(!)色々な意味で驚いた。

*かつての革の正体の話
当時は全く得体がわからなかった革が今になってどういうものかが判明しつつある。
上記のパスケースに使った革でいえば,革厚と質感,エイジングの様子からみて,モストロという牛革が非常に近い。
モストロは染料で染めた後,革の銀面にワックスを塗り込んだタンニン鞣しの牛革。
使い始めは白っぽい銀面だが,使用するにつれ革の内部にワックスが染むため驚くほどの艶が出てくる革である。
因みにモストロはイタリア語で “化ける” の意。名前にふさわしいエイジングが楽しめる。

また,2017年にはじめてブックカバーを作った際に使用した牛革。
これは当時東急ハンズの革コーナーのワゴンセールかなにかで手に入れたものだったが,クタクタにオイルが入ったものであった。
その後この革に似たものはどれかと専門店で聞いたところ,今やおなじみのアラバスタを紹介されたが,むしろエルバマットに近いものだった。
エルバマットはイタリアのタンナーTempesti社によるタンニン鞣しの牛革で,鞣しの工程で通常の約2倍のオイルを使用しているのが特徴。
とにかくオイルの含有量が多くしっとりクタクタに柔らかい。使い込む程に革に染み込んだオイルがじわじわと出てきて,艶が増し馴染んでゆく革である。
ワゴンセールにエルバマットのような高級革が出るとは思えないため,あくまで似たものであるだけなのだが。

二つ折り財布第5弾で使用した馬革。
馬革といえば人気なのは尻部分のコードバンだが,当時のこれは尻以外の部分の馬革。
所謂ホースフロントと呼ばれる部位の革である。
馬は牛よりも運動量が多く余分な脂肪が少なめで,それゆえ薄い・軽い・柔らかいのが特徴。
運動量が多いということもあってか革の表面に傷が多く,傷を隠すために茶芯と呼ばれる染色法がよく取られるらしい。
茶芯というのは茶色に染色した革に黒などの顔料を吹き付けたもののことで,使い込む中で擦れによって中の茶色が出てくるというもの。
なるほど確かに,この馬革で作成した財布は徐々に下地の色が出てきていた。

色々知識がついた今,時間を経て点と点が線で結ばれるのが面白い。


*ブックカバー新色(新素材)の話
背表紙のあるブックカバーがややマンネリ化してきたため新しい革,新しい色を追加してみた。
まぁデザインは変わらないのでマンネリを脱しきれてはいないのだが…

製作に使用したのはイタリアのタンナー Il Ponte社のマヤという革。
銀面に浅くスクラッチ加工が施されており白いムラとなって現れているのが特徴。
スクラッチ加工+オイルによりエイジングの速度も早く,さらっとしたマットな風合いから色濃く艶のある表情へと変化してゆく。
ピット槽でじっくりと鞣され手間暇かけて作られた革である。
今回はこれまでブックカバーのラインナップに無かった青系統を新しく追加してみた。
革の青と内装のオレンジのスエード,そしてハニーゴールドのステッチのコントラストが綺麗なアイテムとなっている。
アラバスタ,ルガトショルダー以上にエイジングが楽しめる(というよりこれら2種は革の加工上それほどエイジングの幅は大きくないことを最近知った…)。
オーダーメイドにて製作受付中なので興味がある方は是非。

iPadケースの話
なかなか新作を作るモチベーションと時間が生まれない中,漸く作ったのがiPadケース。
と言ってもデザインはごくごくシンプルで目新しいものはない。

Smart Keyboardを装着したiPad無印がぴったり入るケースを作りたかったのだが,ぴったりすぎる採寸になってしまい,
ハンシャで隠しボタンにするつもりだったのが革厚の都合上厳しく,急遽通常のホックの頭に変更。
ホックの凹凸で色が違うのは手持ちのパーツで間に合わせたためである。横着。

クラッチバッグくらいのサイズ感。

ケースに入れていない時にiPad背面を保護する何かも合わせて作れないかと考えていた折,
賃貸の壁を傷めずに壁紙を貼る方法として,壁にマスキングテープを貼りその上から両面テープを貼るというのをたまたま見かけた。
これは壁以外にも使える方法なのでは? 昔iPhone本体にシールを貼り付けて外見を変えるWrappleなるものがあったし,それがあるならこうしてもいいのでは…と思いやってみた。
iPad背面をマスキングテープで一旦覆った後,適当に切り出した革を両面テープで貼り付ける。

キーボード使用時にも問題はなさそう。

しかしこれ,もし剥がそうとした時に本当にきれいに剥がせるのだろうか。
iPad背面をベリベリに破壊しながら剥がすことになりはしないだろうか。
排熱問題? 知らん…

*工具の話
これまで自分は菱ギリ,ヘリ落としはC社のものを使ってきた。
使ってきたといっても当時はメーカーなんて全く気にしていなかったため,改めて見たらC社のものだったというのが正しい。
以前にも書いたように,C社の菱ギリは無印とプロ用の2種類がある。
無印は刃の太さが変わらないのに対し,プロ用は刃が先端に向かって細くなっている。
つまり刃の刺し具合によって開く菱目のサイズが変えられるのがプロ用菱ギリである。
自分はこのC社のプロ用菱ギリを使っていて,これを価格の安いK社のプロ用菱ギリに変更したところ,1.2mm厚の革ですらまっったく刃が通らず衝撃を受けた。

無理やり刺そうとするとブチッという音とともに一気に根本まで刃が貫通し,自分が狙った大きさ以上の菱目が開く。
メーカーが変わると切れ味にここまで差があるのかと驚いたが,なんとK社はそもそも無印の菱ギリがラインナップに無く,プロ用と極上の2択であった。
つまり下位モデルがプロ用という名前なのである。
C社の無印の菱ギリは使ったことがないが,下位モデルはこんなものなのだろうか。
安い菱ギリはまず研がないことには使い物にならないという記事を以前見たが,まさにそのとおりだった。

続いてヘリ落としの話。
最近知ったのだが,どうやらヘリ落としには砥げる刃を使っているものとそうでないものがあるらしい。
自分がこれまで研ごうとして失敗してきたヘリ落としがどのタイプなのかは分からないが,繰り返し研いで使うことができるのは限られたものとのこと。
K社のプロ用ヘリ落とし(これに関しては上位モデルに “プロ用” の接頭辞がつく..笑)は研ぐことができるものということを知り,とりあえず購入。
自分は薄い革ばかりを使うのでヘリを大きく落とす必要はなく,ヘリ落とし先端のU字の内径の一番狭い0番を選択。

上位モデルのヘリ落としなのだから さぞ快適に使えるのだろうと思っていたが…


ボロボロ。
力を込めすぎかと思い,加減しながら再チャレンジ。


関係なし。

そもそも,U字に窪んだ部分以外のところが革をえぐる。
以下はわかりやすいように力を込めて刃を入れたところ。

うーむ… 慣れれば使いこなせるものなのか…??
はたまた切れ味の問題なのか…

ちなみに,付属の研ぎ棒をあてがってみたところ,

U字の幅の狭い0番ヘリ落としには全くサイズが合わず。
もっと大きくヘリが落とせる3番や4番でしか この付属の研ぎ棒は使えないのでは…?

革に関する知識は増える一方,工具に関する疑問は深まるばかり。

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