音楽の話は鬼門である

 そこまで付き合いの深くない人と,仕事以外の何かしらの話をしなければならない場合,決まって『趣味は何か』という話題になる。
ここでサーフィンだのスノボだのバイクだのと答えられればいいのだが,生憎自分はその類の人間ではない。
自分の趣味は何かというと,革細工やDIY,観葉植物の世話,Unityであるが,これらを言ったところでリアクションはピンとこないものばかり。
相手が自分と同世代の場合は特にそうである。

 そのため,無難に「音楽鑑賞ですかね〜」なんて答える事が多いわけだが,次に来る質問は100%,『普段どんな音楽聴くんですか?』
何気ないこの会話が,毎回自分の頭を悩ませる。

 自分の趣味嗜好を素直に答えたところで,まず話は盛り上がらない。
プログレやプログレメタル,Vaperwaveのアーティストの名前を挙げたところで相手は知らないし,
邦楽でもテナーやAcidman,事変,ラスアラ等を答えても,”名前は知ってます” や ”友達が好きです” といったケースが多い。
彼らはみな第一線で活躍していて全国にファンも多くいるが,不思議なことに自分の周りにはファンだという人は殆どいない。
となると,それらバンドの魅力を相手に紹介することになるわけだが,
その場で音楽をかけられない場合,話だけでのプレゼンでは反応は極めて微妙であり,終始空回りして終わる。
仮に曲を流せた所で,初聴からガッとくるというよりはじっくり聴き込むタイプのアーティストが好きなので,これも空回りすることが多い。

 とは言え,アイドルやダンスボーカルユニット,そしてR◯Dのような若い世代を中心に人気なバンドを聴かないため,他に答えようもない。
ここで声を大にして言っておきたいのは,大抵こういう事を言うと,『流行りの曲を聴かない,興味のない,流行に流されないスタンス。あえてマイナーなアーティストばかりに手を出して通ぶりたいだけなのでは』という風に人には捉えられるが,自分がこれらグループの音楽を聴かないのは,色々と考えがあった上で魅力を感じないからである。
以下にそれら理由を書いているが,色々と酷い上に主観と偏見に塗れていることを始めに断っておく。

それは誰の音楽なのか?
 自分達で作詞作曲をせず演奏もしないグループが,音楽人を名乗っているのがいまいち納得できない。
歌やダンスはうまいかもしれないが,本人が持つ音楽力は極めて低いと思うからだ。
評価・周知されるべきは楽曲提供者であって然るべきなのに,メディアの前面に出る人ばかりが人気者となり,そのうえ楽曲を自分達の生産物であるかのように振る舞っている姿に非常に疑問を感じる。
やはり自分で曲を書き,楽器を演奏して歌ってこそ格好いいし,音楽人だと思う。
歌の上手い人やダンスの上手い人であれば,別にその人ではなく他の人でもよいのではないか?
だいいち,常にPVを見るわけでもなく大抵はiPodなりWalkmanで音楽を聴くのに,ダンスは必要あるのか??
歌以外のパフォーマンスに力を入れている人達は,そのあたりをどう思ってるのだろうか。

ビジュアルやスタンスへの嫌悪感
 ローキック1発で折れそうな細い足に黒のスキニーパンツ,逆Aラインシルエット,ボブやマッシュな髪型で明るい髪色,性別不詳な高くて透き通った声,早口言葉のように1小節目一杯に詰め込んだ歌詞…
別にゴリマッチョなメタラーしか認めないというわけではないが,どうしてもこういったビジュアルのバンドからは,ナヨナヨとした空気を感じてしまう。
どうも音楽性よりファッション性のほうが上回っていて女子にキャーキャー言われたい感がプンプンするというか,モデルが調子に乗っておまけでバンドをやってる感があるというか…
このあたりがどうにも受け入れられず食わず嫌いを決めている。
これまでもこういったバンドの音楽を見聴きする機会はあったが,この”調子に乗っている感”が嫌でも強く感じられて,曲が全く頭に入って来なかった。
大体そういう時は当たり障りのない態度でその場をやり過ごすが,30分後にはバンド名すら忘れている。
うむ,これだろう。ビジュアルもそうだが ”調子に乗ってる感” だろうと思う。避けている理由は。
邦楽に限らず, Limp BizkitやAvenged Sevenfoldのボーカルが苦手なのもきっと同じ理由だ。
バンドに限らずこの手の人間は得意ではない。

ファンへの嫌悪感
 バンドもそうだが,それ以上にファンのリア充系大学生ノリが受け付けないというか..
ファン同士横の繋がり大切にしよっ☆感が気持ち悪いというか.. 楽曲云々よりイケメンなバンドマンが好きなだけではないのかとか..
これらバンドを好んで聴いて『めっちゃ縦ノリで激しいバンドだよ〜たぶん世界で一番じゃないのかな?ギターもめっちゃ上手いし!』
みたいな感じで絶賛している人は,大抵自分自身をロック好きで音楽への造詣が深いと思っていそうで,軒並み好きではない。
この『自分自身をロック好きで音楽への造詣が深いと思っていそうで軒並み好きではない』の後には,
『浅い! 世界はもっと広いし色々な音楽があるのに!』という言葉が待っているわけだが,
好みのジャンルの音楽しか聴かず,それでいて楽曲に対して他の音楽ブログのような深い考察ができるわけでもないのに,どの面下げてそんな文句を言えるのかという話だ。
完全にブーメランである。
きっと同族嫌悪な部分もあるのだろう。

続: ファンへの嫌悪感
 これについても完全にブーメランなのであしからず。
自分の興味の無いものを猛プッシュされる辛さったらない。
興味がないどころか意図的に避けているようなものを,
『めっちゃいいから!一度でいいから聴いて!』とこちらのテンションを無視して,情熱たっぷりにプレゼンしてくる人間の面倒臭さったらない。
この面倒臭さが食わず嫌いに更に拍車をかける。
食わず嫌いを決めているものをいくら勧められたところで,嫌いなものは嫌いなのだ。
かつては自分も例外ではなく,相手の都合を考えずに,これ聴いてみ!といきなり耳にイヤホンを突っ込んでいた時期があった(自分はこれをされてハマったケースもあったが)。
今思えば鳥肌が立つくらい鬱陶しい行為である。
とはいえこういった行為は,純粋に自分のいいと思うものを相手にも好きになってもらいたい一心からくるもので,決して本人に悪意は無い。
行き過ぎた熱意により,相手の顔色が見えていないだけなのだ。
この勧める側,勧められる側の双方の心情を,俯瞰且つリアルタイムで認知できるようになるのに長い年月を要した。

…とこんな感じに,人と趣味は合わないわ,自分の好きなものを話すにしても鬱陶しい人間になりたくないわで,
結果として誰とも音楽の話をすることは無くなったのであった。
音楽の話は色々な意味で鬼門なのである。


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